〝満員御礼〟31万9000人来場=平城遷都1300年祭 |
平城遷都1300年記念事業協会は6日、メーン会場の平城宮跡会場(奈良市)のゴールデンウイーク期間中(先月29日〜今月5日)中の来場者総数を31万9千人と発表。当初予測(約21万人)の約1・52倍と大きく上回ったことが分かつた。ピークは今月3日の6万9千人。今月以降は最高気温が連日20度を超え、暑さで体調を崩すなどで救護所利用者は190人。ほか9人が救急車で運ばれたが、主催者側は「大きな混乱はなかった」と胸をなでおろした。
■天候も味方
天候も味方した。内覧会などがあった先月下旬の天候不順がウソのような快晴続き。期間中、おおむね1ミリ以上の雨量を観測しなかったのは、奈良地方気象台によると平成18年以来。大型連休は初日2万6千人で幕を開け、今月1日には4万人を突破。3日6万9千人、4日も5万9千人を記録した。
施設別入場者数は、大極殿15万8千人▽平城京歴史館2万6400人▽平城京なりきり体験館6730人▽探訪ツアー4350人。大極殿は2日の2万9千人がピークで最大90分待ち。期間後半は体験館、探訪ツアーも収容人数ぎりぎりの人気となった。一方、整理券発行と開館時間延長で収容人員を4500人にした歴史館は、午後4時配布の整理券(900人分)に余裕がある状態。協会は「開館時問延長措置は9日で打ち切る」。
■暑さ対策
甲子園球場30個分という平城宮跡の最大の課題は暑さ対策。日陰が少ない会場で「気分が悪い」「疲れた」と救護所に駆け込んだ人は3日の48人を筆頭に計190人。熱中症などで救急搬送された人は9人で、子ども3人、お年寄り6人だった。
4日には休憩所など8カ所で水を霧状噴霧するドライミストを導入。今後は待ち行列の見受けられる個所に可動式のミストも導入する予定。協会は「平城宮跡では風も強く吹くためテントなどはかえって危険。十分に水分補給するよう、場内でアナウンスしたい」。
■波及効果は
懸念された市内の交通渋滞は3カ所の郊外駐車場(計2100台)や近鉄西大寺駅、JR奈良駅からのシャトルバス運行で回避でき、シャトルバス利用は1週間で7万730人。駐車場利用台数も1万1千台を超え、市内への車の流入を抑制。最寄りの近鉄西大寺駅からの徒歩での入場も目立った。
協会はアンケート調査で経済波及効果などを検証するというが、平城宮跡会場人気で足元をすくわれたのが市内の奈良町など他の観光地。「奈良公園方面への渋滞も従来より緩和された」というなか、奈良町情報館(同市中院町)でも例年5千人以上の入館者が今年は3400人と減少。藤丸正明館長は「平城宮跡会場の人気が事前に分からず、準備不足となった。会場と他の観光地を結ぶシャトルバスなどあれば誘客、客の分散化で相乗効果も見込めたのに…」。東大寺そばの複合商業施設「夢風ひろば」(春日野町)の吉川俊之支配人も「人通りは昨年より半減した。観光客も疲れてこちらまで足が伸びてこない」と嘆いた。 【奈良新聞 5/7】