春日大社「東塔」雨落溝が奈良博敷地で発見される |
現場では27日迄の予定で発掘が続けられられているが(奈良文化財研究所、平城第477次調査)、吉澤奈良博教育室長やボランティアによって解説が行われていた。本館の西南に塔跡があって表示がされているが、現在開催中の「おん祭と春日信仰の美術」展でも出展されている南市町自治会蔵「春日宮曼荼羅」の左下部に東西の二塔が明確に描かれていて、その実在を知ることができる。東塔については治承四年(1180)に平重衡の焼き討ちで焼失、建保五年(1217)再建されるも応永十八年(1411)雷火により再び焼失したという歴史を持つ。
今回の発掘調査で春日東塔院の北東隅の位置が確定できたという。東塔院およびその北方周辺一帯が、塔の建立以前に既に開発されていたことも今回の発掘で分かったという。
現場はフェンス越しに21日(火曜日)まで見学可能。奈良博ボランティアによる解説が10〜12時、14〜16時に行われるとのことである。資料の配付も行われている。
余談ながら先の南市町自治会蔵「春日宮曼荼羅」(重文)は19日午後開かれた奈良博サンデートークでの講演者・谷口 耕生氏(奈良博学芸部保存修理指導室長)は「春日曼荼羅と春日若宮の文殊信仰」の中で当該画幅は春日曼荼羅中、最高の作品と評されていた。目下開催中の「おん祭と春日信仰の美術」展に出展されていて(東新館)、縦183.3cm、横106.3cmの大きな画像である。