東大寺法華堂の創建は733年? |
現在の学説は、瓦の研究などから天平時代後半(740年以降)に建てられたとする説が有力だった。しかし『東大寺要録』(平安時代編さん)には733年(天平5年)創建と記されており、今まで信びょう性が薄いとされていた「東大寺要録」の記録について再検討が求められよう。
法華堂の建築 法華堂は、桁行五間、梁行四間の寄棟造りの天平時代の正堂と、正治元年(1199)重源によって大仏様を加味して再興された桁行五間・梁行二間の礼堂とからなり、鎌倉時代の中期(1257-70)に両者をつないで一棟とされ、二つの棟がT字形をなしている。したがって平面は、両者の造合いの間二間をいれて桁行五間、梁行八間となる。そして、礼堂正面を入母屋造りとし、屋根は正堂・礼堂ともに本瓦葺きである.
正堂は土壁(西面の連子窓は後補であろう)に、板扉(背面三・側面一、外開き)を用い、組物は出組で、礼堂は桟唐戸(内開き)、連子窓を採用し、木鼻や構架法に大仏様を用いているが、この両者の連絡は、前述のごとくきわめて美しく、見る人に不自然な感じを少しも与えず、外観には全体として優美な天平の気分が感じられる。軒は正堂・礼堂ともに二間である。【岩波版:奈良の寺:法華堂の乾漆像より】