元興寺文化財研究所の秋季特別展の紹介 |
奈良時代から現代まで、火葬で用いる蔵骨器の変遷にスポットを当てる、元興寺文化財研究所の秋季特別展「極楽行きのタイムカプセル」が22日から、奈良市中院町の同寺で開かれている。
国内の火葬は飛鳥時代の僧、道昭が最初とされ、持統天皇も火葬を選んだことで高級官人に広まった。平安時代以降も貴族や領主クラスの埋葬方法だったが、室町時代には農民層にも浸透し、土製の羽釜など、日用品が蔵骨器に転用された。
今回は県内外で出土した蔵骨器約70点を展示する。和歌山県の高野山奥之院で昭和52年に出土した白磁の蔵骨器(12世紀後半〜14世紀)は初公開で、日宋貿易で輸入された高級品という。弘法大師廟がある奥之院には平安貫族がこぞって納骨し、6個まとめて出土した。鎌倉-南北朝時代には共同墓地も登場した。大がめに随時火葬骨を納める形で、山添村で掘り出された大がめを展示している。
30日午後1時30分から、藤沢典彦・元大阪大谷大学教授の特別講演「火葬の展開と蔵骨器」も禅室で開かれる(聴講無料)。
開館時間は午前9時から午後5時。拝観料は大人600円、中学・高校生300円、小学生100円。
問い合わせは同研究所、電話0742(23)1376。