【鑑真和上坐像】伝承通り弟子制作か - 美術院調査 |
専門仏師の関わった痕跡がなく、細部を指で整えたことで柔らかな雰囲気が出ているという。2月7日、京都市下京区の美術院七条工房で進む「お身代わり」の制作現場が報道関係者に公開された。
鑑真和上坐像は高さ約80センチ。講堂の梁(はり)が折れる夢を見た弟子の忍基が、鑑真の死期を悟って造ったとされる。脱活乾漆(だっかつかんしつ)と呼ばれる張り子の像で、漆に浸した麻布を原形の粘土像に張り、木屎(こくそ)と呼ばれるペースト状の素材で細部を造形する。粘土像は取り壊す。
「お身代わり」の制作を進める美術院が調べたところ、木屎をへらで造形した痕跡など、熟練仏師の「仕事」がまったく確認されなかったという。
「お身代わり」は現在、開山忌など公開期間が限定される鑑真和上坐像を通年で拝んでもらおうと同寺が制作を依頼しているもので、年2回結縁の写経会も催されている。
来年の3月に完成して、6月の鑑真和上1250年忌法要で開眼する。改修した地蔵堂を開山堂として安置する計画という(境内図の赤丸印が地蔵堂)。