奈文研本庁舎、建て替え |
奈良文化財研究所は1日、老朽化が目立つ同研究所本庁舎(奈良市二条町)の建て替えを発表した。11月末ごろに平城宮跡内の仮設庁舎に移転、来年1月にも現庁舎の取り壊しを始める。発掘調査などを経て来年秋にも新庁舎建設に着工、平成28年春の完成を目指す。
現本庁舎は昭和39年に奈良県立病院として建設され、55年4月に同研究所が移転した。築約50年が経過して、建物内部の壁に亀裂が発生するなど老朽化が進行。また、資料や図書などの増加で手狭になり、調査研究に支障が生じていた。さらに、平成12年の耐震診断の結果、大規模地震で倒壊の危険性が判明し、建て替えが検討されてきた。
計画では、新庁舎は鉄筋コンクリート造、地下1階地上4階建て。総床面積は現庁舎の約1・5倍となる約1万平方メートルを予定。約30万冊の研究図書などの保管場所の確保を図るほか、温湿度管理を徹底し貴重な遺物の保存管理環境を整える。
展示や見学の施設は予定されていないが、講演会や研究集会などが開催可能なスペースを確保。周辺地域に愛される施設を目指すという。
建て替え期問中に便用する仮設庁舎は、現庁舎から道路を隔てた平城宮跡佐伯門付近に建設。プレハブ地上2階建て2棟で、総床面積は約5000平方メートル。庁舎建て替えの総事業費は約60億円。