奥深い仏画の魅力を紹介=南都銀セミナー③ |
南都銀行の創立80周年記念セミナーが7日、橿原市北八木町3丁目の県橿原文化会館で開かれ、奈良女子大学の加須屋誠教授が「奈良の仏画」と題して講演した。4月から始まり来年3月までに計10回企画。今回が3回目で、奈良の歴史や文化をテーマに開かれている。
加須屋教授は県内の寺院に伝わったり、モチーフにした仏画等のスライド36点を紹介し、京都などに伝わるものとも比較しながら「仏画はその土地の持っている風土が現れ、県内に伝わるものは大らかさや時間の奥深さを感じる」などと評価した。
また、内容は仏像をモチーフにしたものから、仏教の教えを表したもの、寺院の境内を描いたものなどがあることを示し、「古くに描かれた曼荼羅は、現在は焼けるなどして見られない建物が描かれるなど、現在は直接見ることのできない仏教建築や仏像の姿を見ることができる」などと興福寺のかつての境内と現存する建物の比較や、笠置寺の弥勒磨崖仏等の例をあげ、鑑賞の楽しみを話した。
取り上げられた主なものは〜
▽法華堂根本曼荼羅 米国・ボストン美術館 天平時代(8世紀)〜天理市の永久寺にあったものが、廃仏毀釈で渡米したという来歴を話された。廃仏毀釈で多くの寺院や仏教関係の宝物が失われたことを今更のように考える。
▽大仏蓮弁 東大寺 天平時代(8世紀)
▽十一面観音図 奈良博 平安時代(12世紀)
▽弥勒菩薩像 生駒・宝山寺 鎌倉時代(13世紀)
▽阿弥陀三尊及び童子幅 奈良・法華寺 鎌倉時代(13世紀)
▽融通念仏縁起絵 田原本町・安楽寺 鎌倉時代(14世紀)
▽春日興福寺曼荼羅 京都博物館 鎌倉時代(14世紀)
▽笠置寺縁起 京都・笠置寺 室町時代(16世紀)