知事公舎・吉城園周辺にホテル誘致 |
◇海外大手チェーンも関心
奈良公園の鹿が闊歩し、外国人観光客らが行き交う奈良公園の玄関口。緑に覆われ、古びた門構えが古都の風情を漂わせる。
計画では知事公舎のほか、県所有の日本庭園「吉城園」など一帯約3・2ヘクタールを一括で貸す。和風建築の趣を残しつつ、2階建て程度のホテルの建設を想定。来年2月23、24日に事業者からの企画の提案書を受け付け、3月下旬までに優先交渉権者を決め、2019年春の開業を目指す。荒井知事は来年以降、県庁近くの別の場所に転居するという。
県はホテル・旅館の客室数が全国で最も少なく、昨年の宿泊者数はワースト2位の255万人。国宝の寺社や仏像、史跡など全国屈指の観光資源を持ちながら、近隣の大阪や京都に宿泊客を奪われている。インバウンド(訪日外国人)の増加で奈良公園付近の宿泊ニーズは高いと判断した。既に奈良市は12月から東大寺や興福寺、新薬師寺など奈良公園周辺などの規制緩和を行い、延べ500平方メートル以下の宿泊施設を認める事にした。
現状を打開するため、県は海外の高級ブランドホテルの誘致に力を入れ、今年4月には米ホテルチェーン「マリオット・インターナショナル」が、最高級ブランドのホテルを2020年春に奈良市にオープンさせると発表した。
今回、戦後史に残る場となった知事公舎を貸し出すことで、誘致に拍車を掛ける狙い。関係者によると、既に海外の複数のホテルチェーンと接触し、高級リゾートホテルを展開するアジア系の大手チェーンのトップは2回訪れたという。荒井知事は「超トップグレードのホテル進出も可能だ」と自信をのぞかせていると、新聞報道では伝えられているが・・・。
◆矢継ぎ早に次策も計画
公募型プロポーザルでは、事業者から提案を募り、有識者や県職員でつくる選定委員会で事業者を選ぶ。来年5~6月ごろ、文化庁から現状変更許可を得て着工する見通しとのこと。
県はこの他、奈良市高畑町の裁判所跡地(約1・3ヘクタール)でも宿泊施設や飲食・交流施投の整備を計画している。
まちづくり推進局奈良公園室では、吉城園周辺地区の整備については、知事公舎や世尊院などを含めて、民間事業者により一体的に整備を行うための公募を始めた。
吉城園の庭園及び茶室については、これまでどおり県で管理を行い、今までと変わらず一般の方々に楽しんでいただけることとしています、としている。
知事公舎の前では工事中だった空き地跡に、和洋レストランが2軒が営業を始めている。