近鉄大和西大寺駅の「南北自由通路」工事 |
南北自由通路は、階段部分を除いて総延長75.5m、幅は通路部分6m、階段部分2.4m。これまで歩行者は南北方向の行き来に駅舎西側にある地下通路か、近鉄あやめ池8号踏切を通るしかなく、駅の南北両側は事実上″分断″された状態にあった。
市は駅南側で土地区画整理事業と南側駅前広場(約5700平方m)を整備。北側では現在1900平方mに暫定整備されている駅前広場を街路事業により約4000平方mに拡張する予定で、ともに平成32年度末を完成年度と見込む中、南北を結ぶ自由通路についても近鉄などと協議を重ねてきた。
南北自由通路は現在の駅舎東端に駅舎一体で整備される。通路の整備により駅北側では改札口や券売機が撤去されるが、機能を確保するため駅舎を橋上化し、南北自由通路に面して新たに改札口などを設ける。
また南北自由通路には駅の南北にそれぞれ階段を2カ所ずつ、またエレベーターとエスカレーターを各1基ずつ設置する。自転車も手押しでエレベーターが利用できるなど、バリアフリー化にも配慮した設計とする。
1.大和西大寺駅北側から見た 南北自由通路(外観) 及び 北側 駅前広場のイメージ図。
2.大和西大寺駅南東側から見た 南北自由通路(外観)のイメージ図。
3.大和西大寺駅南側から見た 南北自由通路(内観)のイメージ図
4.大和西大寺駅南側 駅前広場イメージ図
※この図は現時点で完成をイメージしたものであり 変わる場合があります】
同駅前周辺整備は紆余曲折を経てきた事業で、市が駅南側で進めてきた土地区画整理事業は、減歩率などをめぐり地元交渉も難航。当初は平城遷都1300年記念事業の開催に合わせて完成を目指したが、事業期間についてはたびたび延長の措置が取られてきた。
現在の進捗率は本年度末で面積ベースで92%となる。
一方、北側についても、駅前1・9ヘクタールを事業対象とした市の再開発事業が地権者の合意を得られず、バブル崩壊もあって断念に追い込まれている。平成17年度に駅前広場を従来の900平方mから1900平方mに暫定的に拡大整備しており、今後は街路事業でさらに4000平方mに拡大し、現在は車や駅乗降客、百貨店利用者や観光客らで混雑する駅前広場内にバスやタクシーのプールスペースも設ける計画だとする。
ただ道路部分を合わせて個人、法人を合わせて5件の地権者らとの協議は思うように進んでおらず、今回、南北自由通路開設に向けた工事が進むことで駅前広場整備に弾みがつくことも期待されている。
自由通路関連費は概算で駅舎の通路部分が25億円、駅舎補償工事35億円。これを合わせた平成29年度以降の残事業費は総額約100億円が見込まれている。市の負担分は45%で、残る財源として国の社会整備総合交付金を見込んでいる。
▽以前にも取り上げた時に、人口減少の社会でこのような莫大な費用をかけてやる事業では無いというコメントが寄せられたことも、紹介しておく。一方、平城宮跡公園化での保存で遺跡の中を横切る近鉄線の移設問題も絡んでくる。
http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1478044754201/files/imagezu.pdf