藤原宮跡 最古の地鎮具出土! 富本銭、水晶9点づつ |
今年4月から、宮の中心に位置する大極殿院南門跡の周辺1560平方メートルを調査。南門の西に取り付く回廊の下で、酒などを入れたとされる須恵器・平瓶(ひらか=直径約20センチ、高さ約14センチ)が見つかり、注ぎ口の欠けた部分からは銅銭がのぞいていた。X線を当てて調べると、液体と水晶の結晶9本が入っており、注ぎ口の銭は、日本最古の貨幣の富本銭9枚と分かった。富本銭は成分分析の結果、近くの飛鳥池遺跡(同県明日香村)で鋳造された可能性が高い。平瓶は、整地土に開けられた約60センチ四方の穴に砂を敷き詰めて安置し、丁寧に埋められていた。四隅には直径約25センチの穴があり、聖域を示す結界を設けて祭祀(さいし)をした可能性もある。
同研究所の松村恵司考古第1研究室長は「9は『久』にも通じることから、土地の神様にお金や宝物をささげることで、都の平安・長久を願ったのではないか」と話している。
地鎮の跡は、太宰府政庁(福岡県太宰府市)の中門や平城京(奈良県大和郡山市)の宅地ねどでも確認されている。【林由紀子】
森郁夫・帝塚山大学教授(歴史考古学)の話
日本書紀には地鎮の方法や場所が書かれておらず、その具体像をほうふつとさせる非常に貴重な発見だ。さらに、実際に藤原宮内で遺構を確認できた事が重要で、今後の研究に大きな影響を与えるだろう。
【毎日新聞 11/30】