二段重ねの地鎮具出土=春季発掘調査速報展で展示 |
奈良市大森町の平城京跡で、須恵器の杯(つき)を二段重ねにした奈良時代末の埋納遺構が見つかった。下の杯に和同開珎や小石が入っており、調査した市教育委員会は地鎮具とみている。平城京跡で二段重ねの.地鎮具が出土したのは初めて。
土地区画整理事業に伴い、約7000平方メートルを調査した。杯はいずれもふたつきで、直径17〜18cm、高さ約5.5cm。楕円(だえん)形の穴に重ねて埋められていた。
上段は空だったが、下段の杯には和同開珎が四枚以上と小石、鉄の塊などが入っていた。布などを敷いたとみられ、底から浮いた状態だった。
平城京跡では、土器を埋めた埋納遺構が100件以上見つかっている。地鎮のほか、子供の長寿を願って胎盤を埋める胞衣(えな)の祭祀(さいし)とみられている。
ふたつきの土器を二つ重ねた遺構は初めてで、金属の塊を入れた遺構も一例しか見つかっていない。貨幣の埋納には、土地の神からその場所を買い取る「買地(ばいち)」の思想もあるという。市埋蔵文化財調査センターの森下恵介所長は「金属には五宝や七宝に通じる仏教的な意昧もあるのだろう。上段の杯には違う内容の地鎮具が納められていたのかもしれない」と話している。
3日から奈良市大安寺西二丁目の同センターで始まった春季発掘調査速報展で展示されている。ほかにも、平安時代末〜鎌倉時代の墓で出土した中国製青磁など約20点を展示。3月28日まで。間い合わせは同館、電話0742(33)1821。
【奈良新聞 3/4】