発掘された木簡は、こうして処理される! |
この中で、幾多の調査で発掘された「木簡」の処理についての詳しい話と、実物の展示があった。これを簡単にまとめてみた。
全国出土の木簡は現在約34万点で、うち平城宮出土約5万点、平城京出土約12万点という、さらに現在発掘調査予定地点には数万〜数十万点の木簡群出での可能性が想定される地点が含まれている、という。
木簡の取り扱いは
(1)発掘
発掘調査時では木簡の出そうな場所では細心の注意をはらって作業に当たる。取り上げ体制の確保、整理室との連携に意を用い、出土情報・安全な取り上げは木簡の生命線と考えてあたる。
※現揚で詠もうとするな、とは最初に徹底的にたたき込まれることの一つ。発掘調査現場は屋外であり、紫夕線を強く浴びるおそれが大きい。しかも、すぐに乾燥する可能性もある。また、あわてて文字を見ようとして、泥水で表面をこすってしまうおそれもある。泥水で表面をこするのは、紙ヤスリで表面をこするようなもので、木簡の大敵である。環境を整えて丁寧に作業を行う必要があるので、良い状態で早急に整理室へと運ぶことを優先する。
(2)洗浄
慎重かつ大胆な作業が求められる。水につけて泥をゆるめつつはずすときは一気に。削り屑も大切な資料。出士情報と切り離されないように注意する。
(3)記録(記帳)・釈読・写真握影・保管
記帳‥‥筆跡をおい、加工をメモした記録方法。あらゆる資料検討の基礎資料
釈読‥‥記帳しながら最初の釈読を行う。肉眼が基本・必要に応じて赤外線も用いる。
写真撮影‥‥脆弱な遺物=写真が重要。フィルム上で現物と同じ大きさになるように撮影する
保管‥‥水漬けで倉庫に収納。年に一度はすべてのバットの状況を確認。水換え
(4)公表・保存処理
刊行物での公表‥‥平城宮発掘調査出士木簡概報、奈良文化財研究所紀要、平城宮木簡・平城京木簡シリース等
データベースでの公表‥‥木簡データベース 木簡画像データベース・木簡字典
保存処理‥‥正式な報告書が刊行されてから、が原則。いくつかの方法を適宜選択しつつ行う。
保存処理後も紫外線カット・温室度管理は必須