平城第488次調査 説明会の要旨 |
1.平城京左京三条一坊一坪に対するこれまでの調査
平城京左京三条一坊一坪は、平城宮の正門である朱雀門のすぐ南東に位置する。調査開始前は、国史跡平城京朱雀大路跡に隣接する緑地公園として整備されていた。この場所に国土交通省が平城宮跡展示館を建設する予定で、昨年度から奈良文化財研究所が発掘調査をおこなっており、本調査もその一環である。



調査区の西方にあたる朱雀大路との境界付近については1986~1996年にかけて奈良市教育委員会によって、北方に位置する二条大路との境界付近については1986年に奈良文化財研究所によって調査がおこなわれた結果、この左京三条一坊一坪は少なくとも朱雀大路に面する西面と二条大路に面する北面には築地塀などの遮蔽施設をもたないことが判明している。また1996年の奈良市教育委員会の調査によって、坪を南北に二分する東西方向の坪内道路の存在が明らかとなっている。【上の写真は発掘現場の北東隅、クレーン車の上から南西方向を撮影したもの】

奈良文化財研究所が昨年冬におこなった第478次調査では、調査区の北東側に井戸屋形を伴う、上段正方形、下段六角形の大型井戸が確認され、井戸の中からは木簡や、木製品、金属製品、土器、瓦などさまざまな遺物が出土した。また昨年秋におこなった第486次調査では、調査区の北方に平城宮造営に伴う鉄鍛冶工房群が広がることを確認している。
2.検出した遺構
検出した主な遺構は掘立柱建物4棟と坪内道路の南・北側溝である。建物群は遺構の重複関係から、いずれも坪内道路より古く、道路とは併存しない。
①坪内道路造営以前の遺構〜建物1〜4
②坪内道路
③そのほかの遺構


今日は3・11 東日本大震災から1年。夕方、大極殿前広場で奈良市主催の追悼の催しがあります。