【道草】不退寺の笠塔婆 |
かつては「一条高校前」バス停の東方、一条通りと不退寺道との間の低地に立っていたが、現在は本堂の左前方の木立に中に立てられる(右の写真)。
方柱状で、頭部をむくりのある方錐形にしただけのものであるが、太田古朴氏によれば元は笠塔婆で般若寺笠塔婆と同じ形状だったという。高さ197cm、幅30cmの方柱状。花崗岩製。
四面に梵字を刻む。各面とも上中下の三段に扱い、東南西北の順に示すと、上段は五輸塔の梵字の「発心門」「修行門」「菩提門」「涅槃門」(上の写真)、中段は「阿閦」「宝生」「弥陀」「不空成就」の金剛界の四仏を表す種子、下段は「十三仏」「光明真言」「金胎蘇悉地三部、三帰依咒、胎蔵界大日如来真言」「大随求陀羅尼」を表す梵字となる。十三仏信仰が大和で行なわれるのは室町中期ごろからであるので、この塔婆もそのころに造立されたものと考えられる。
写真はかつて路傍にあった昭和50年代初めに撮影したもので、麦畑の中にポツンと立っていたのを記憶する(上:北面=涅槃門、下:北面と東面=発心門)。カラー写真は今回再見したもので木の茂みの中に埋まっている。