平城宮跡東院地区の発掘調査(平城第503次調査) 現地説明会<配付資料2> |
2.調査の成果
1)検出した遺構
今回の調査で検出した遺構のうち、奈良時代の遺構は、建物11棟、塀11条、溝2条、土坑3基、基壇状遺構があります。このうち建物および塀は全て掘立柱建物です。これらの各遺構は周辺の調査成果をふまえて6時期に区分できます。以下、各時期の遺構を古い順に記述し、さらに時期の位置づけが困難な遺構と奈良時代以前の遺構について説明します。
★1期の遺構(奈良時代前期)
建物1、2 塀1、2,通路、東西溝1、2
★2期の遺構(平城遷都=天平17年=直後)
建物3、塀3
★3期の遺構
建物4、基壇上遺構〜調査区東北で検出、幅約80cm、深さ約15cmの溝をコの字形に掘り、この溝の上に平瓦を、凸面を上にして長軸方向に並べています。・・・外装に平瓦を用いた基壇の可能性が考えられます。礫敷、方形土坑1
★4期の遺構(天平宝字年間=757〜765=頃)
建物5、6、7。 塀4、5,6。 円形大土坑。
★5期の遺構
建物8、9
★6期の遺構(宝亀年間=770〜780=以降)
回廊状建物〜調査区南側で検出した。南側の第421・423次調査区で検出した南北に長い建物が調査区中央で東に折れることが判明し、回廊状建物となることが新たに分かりました。これにより南北の規模が18間(約54m)であることが確定しました。東西方向は6間(約18m)分を検出し、調査区の東にさらに展開します。柱間は桁行約3.0m(10尺)で、梁行6.0m(20尺)となります。
★時期不明の遺構
建物10、11。 塀7、8,9。
★なら時代より前の遺構
方形土坑2。塀10、11
2)出土遺物
主な出土遺物には瓦磚類・土器類・金属製品などがあります。瓦は軒瓦・丸瓦・平瓦が出土しました。土器は、奈良時代の須恵器・土師器を中心とし、古墳時代の須恵器・土師器・埴輪も多く出土しています。その他、柱抜取穴からは礎石や根石に使われたと考えられる礫石類や、基壇外装などに使用されたと考えられる凝灰岩片が出土しました。