奈良女子大学記念館(重文)一般公開中 |
奈良女子大学の前身である奈良女子高等師範学校は1908(明治41)年3月に設置され、翌年5月から授業を開始しました。
校舎の工事は1908(明治41)年2月からはじまり、翌年10月には主要な建物が完成しました。現在、奈良女子大学記念館としている建物は、奈良女子高等師範学校本館としてこのとき建設されたものです。
設計は京都帝国大学建築部長で奈良出張所心得の山本治兵衛が行いました。
木造二階建てで、外観の大きな特徴は、北欧によく見られる木部を外に出す壁構造のハーフティンバー形式をとっており、屋根には頂塔およびドーマー窓が設置されていることにあります。1階は中央に廊下が配され、これを挟む形で7室が設置されています。講堂内には柱は用いられず、中央部に二重に織り上げた天井には明かり取りの窓が配され、広々とした空間が広がります。
旧本館は建設以来、改変された箇所はほとんどありません。現在も2階講堂内部には奈良女子高等師範学校開講当時から使用されていた長椅子がそのまま並び、開校時に購入したもっとも古い国産ピアノのひとつであるとされる「百年ピアノ」がおかれ、往時を偲ぶことができます。
☆奈良女子大学所蔵正倉院模造宝物と文化財科学(特別展示)も同時開催中
奈良女子高等師範学校教材としての正倉院模造宝物
奈良女子大学は、前身である奈良女子高等師範学校の頃から多様な教材を収集しています。創立以来、それらの教材資料が散逸せずに現存していることは大変貴重とあるといえます。そのなかでも正倉院模造宝物は,他大学・研究機関にはない点数と内容を誇ります。
戦前は、正倉院宝物はごく一部の限られた人しか見ることができませんでした。本学所蔵の模造宝物は,明治から昭和初期にかけて実際の正倉院宝物の修理に携わった当代の名工たちが、奈良時代の工芸技術の復元を試みながら,制作されたものです。模造宝物は,本学における定期的な展観のほか、学外期間へも度々貸し出しています。模造宝物は美術工芸品としても歴史教育の資料としても大きな価値を含み,現代の宝物製作・修復のための有力な情報を有しています。現在、奈良女子大学では,美術史・工芸史の観点からの研究に加え、こうした文化財に含まれる有機物の分析を通して,研究の広がりを見せています。