大和古墳群(天理市)、国指定史跡に~文化審答申 |
国の文化審議会(宮田亮平会長)は6月20日、天理市の大和(おおやまと)古墳群を史跡に指定するよう、文部科学大臣に答申した。古墳時代前期(3~4世紀)を中心とし24基のうち、ノムギ古墳(同市佐保庄町)、下池山古墳(同市成願寺町)、中山大塚古墳(同市中山町)の3基が対象。国家の形成にも関わる貴重な考古資料で、保存整備に向けた弾みとなる。邪馬台国論争や大和政権成立の鍵を握る存在として注目されてきた。道路建設などで遺跡の破壊が懸念されただけに、地元や研究者らは今後のさらなる保全や調査に期待している。
このほか、巨勢山古墳群(御所市候)の追加指定も答申された。県内の史跡は122件となる。
大和古墳群は奈良盆地東南部の竜王山層に位置し、萱生、中山の二つの支群で構成。畿内を中心とした前方後円墳と東日本に多い前方後方墳が混在し、古墳の出現や初期ヤマト政権の成立にも関わるとされる。 大和古墳群は、巨大な前方後円墳と前方後方墳(こうほうふん)が混在し、畿内に古墳が現れた3世紀の様子を示す貴重な遺跡で、24基の古墳からなり、今回は調査で内容が明らかになっている3基が指定対象となった。今後、一体的に保護を図る方針という。
以前から史跡指定による保存が叫ばれていたが、今回、県立橿原考古学研究所や天理市教育委員会による発掘調査などで条件が整った3基が答申を受けた。指定地の面積は約1万8千平方㍍。
ノムギ古墳は古墳群の北端にある墳長約63㍍の前方後方墳。出土土器から3世紀後半の築造と推定され、前方後方墳では最古とされる。
同じ時期に築造された中山大塚古墳は墳長約130㍍の前方後円墳で、各種の埴輪とともに吉備地方(岡山県)の「特殊器台」が出土。埴輪の起源とされる土器で、埴輪祭祀の始まりとの関連も注目される。
やや新しい4世紀前半の下池山古墳は墳長約120㍍の前方後方墳。後方部の竪穴式石室にコウヤマキの木棺が残っていた。石室の北西には小石室があり、布に包まれた大型内行花文鏡(直径37・6㌢)が納められていた。
◆巨勢山古墳群の追加も
一方、巨勢山古墳群(御所市)は5世紀前半から7世紀中ごろにかけて営まれた700基を超える全国最大級の群集墳。
条件が整った2859平方㍍が追加指定され、指定地の面積は計約68万3175平方㍍になる。