7月7日 かえる石供養=元興寺 |
伝えによりますと、この蛙石はもと河内の在所の川縁にあったものを、太閤秀吉が気に入り、求めて大坂城内に移したものだといいます。また、大阪城落城の折には、この蛙石の下に淀君の亡骸を埋めたという説もあります。
落城後、いつの頃からか大坂城のお堀端乾櫓に向う隅に移されました。その頃、この蛙石には奇怪な力があって、蛙石から堀に入水する人々が続いたり、堀の身投げして行方の知れぬ人も必ずこの蛙石の基に浮かんでくるとか、不思議なことがよく起こったそうです。
人々から恐れられていた蛙石は、第二次世界大戦のドサクサでしばらく、行方不明になっていましたが、昭和31年にご縁があってこの寺に安置されるようになりました。現在は、国宝極楽堂に向って、彼岸花に囲まれて佇んでいます。
中国では主に、太陽には鳥を、月にはガマガエルとウサギとを描いています。ガマガエルはもともと水の精と考えられていて、雨をふらすために月にいるのだと信じられていたようです。
カエルは、傲慢さと愛嬌があり、動静両面が印象的な生き物です。蛙石と太閤秀吉、淀君、お堀にかかわる伝説などうなづけるものもあります。
現在ではこの蛙石も以前にかかわった有縁無縁一切の霊を供養して極楽カエルに成就しました。転禍為福と申しますが、極楽堂に向って誓願をたてた極楽カエルは、今や「無事かえる」「福かえる」衆生の願いを聞いてくれます。
◆かえる石供養=元興寺
11時から蛙石の前に設けられた祭壇で、ご住職の辻村師が導師になられて、読経や散水(祭壇に供えられたヒエや塩など5-6種を水にまぜたもの)供養が行われた。最後に観光客も勧められて焼香・散水に加わり、最後にご住職の蛙石にまつわる話があって法要は終わる。
なお、境内のキキョウは有名だが目下花盛りで、例年以上に広い範囲に植えられ、宝物館左手、五輪塔群、石仏群の随所に紫色の花が見られる。詳しくはまた後日報告。