奈良西の京・藥師寺「食堂」を再建 |
奈良市西ノ京町の薬師寺(山田法胤管主)は2月10日、伽藍復興事業の一環として、僧侶が食事や修行を行った「食堂」を再建すると発表した。3月21、22日の両日に起工式を行い、平成29年5月の完成を目指すという。
寺によると、食堂は奈良時代前半に建てられ973年に焼失。1005年に再建されたが、室町時代に再び焼失したとみられ、その後再建されなかったと考えられる。
奈良文化財研究所による発掘調査結果に基づき、大講堂北側に再建。大きさは東西約41m、南北約16m、高さ約14m。鉄骨造りだが、柱の周囲に木材を施して木造のような外観と内装に仕上げる。屋根は入り母屋造り。
内部にはかつて食堂にあった阿弥陀如来像を表した「阿弥陀浄土図」(縦横約6m)と、寺の由来を描いた「薬師寺縁起大壁画」を安置する。いずれも日本美術院代表理事で画家の田渕俊夫さんが描く。出来た建物は300~400人を収容でき、法要や法話などに活用される予定とのこと。
再建に向けた寄付を募るため、食堂に使う500枚の瓦に「般若心経」を1字ずつ書く「一文字写経瓦」を行う。願い事を書いて建物の下に埋める「かわらけ」も、修学旅行生などを対象に募集する。
薬師寺は680年に天武天皇が発願し、平城京遷都に伴って現在の地に移転。当時の建物で現存するのは東塔(国宝)だけで、昭和42年から伽藍復興事業に取り組んできた。西塔や金堂、大講堂などは再建が終わり、食堂が完成すると着手から50年の時を経て主要伽の復興が完了する。
「大勢の人が仏さまにお詣りしながら法話が聞ける、大衆教化を得意とする藥師寺の象徴的なお堂にしたい」と大谷徹奘執事は語られたと報じた記事にあった。