旧奈良警察署跡から弥生前期の大規模水田 |
奈良市の平城京跡の下層から、弥生時代前期(2300~2400年前)のものとみられる水田跡などが約5500平方メートルにわたって見つかり、県立橿原考古学研究所が23日発表した。
県内で弥生前期の水田跡が確認されるのは秋津遺跡(御所市)など奈良盆地南部で見つかっているが、平城京跡や奈良盆地北部といった地域で広範囲の水田跡が見つかるのは初めて。橿考研は「盆地内での稲作の開始を考える上で重要」とする。
調査地は昨年、貴族の邸宅跡とみられる奈良時代後半(8世紀後半)の掘立柱建物跡が多数出土した旧奈良署跡の下層。ホテル建設などの再開発事業に伴い、4月から約8000平方メートルの調査を再開した。水田跡は東西約100メートル、南北約80メートルの調査区のほぼ全面で確認。あみだくじ状のあぜ(幅0.3~1メートル)で区画した約500枚の水田(3~50平方メートル)や河川跡、水路を確認した。出土土器などから、弥生時代前期の遺構と判断したという。
東側がやや高い地形にあわせてあぜや水路を作っており、河川跡からは、水路に水を流すための堰だったらしい木材もまとまって出土した。ただ、耕作土は厚さ1~3センチの1層だけで、あぜを修復した痕跡も見られないことから、水田は限られた期間しか利用されなかったとみられる。 水田跡とともに稲穂を摘み取る道具の石包丁や、奈良時代の保存状態の良い和同開珎(29枚)も見つかった。
現地説明会は25日午前10時~午後3時。小雨決行で駐車場はない。
問い合わせは同研究所(0744-24-1101)。