昨日10日「三つの忍性墓について」講演会〜奈良博 |
忍性の墓は額安寺(大和郡山市)、竹林寺(生駒市)、極楽寺(神奈川県鎌倉市)にある。特別展では、3寺院で過去に発掘された銅製の骨蔵器(骨つぼ)3点が初めて同時公開されている。
吉澤悟・同館列品室長が3点の特徴や違いを解説。奈良の2点は殆ど同形であるのに対して、極楽寺のものは形が異なり、工人の技巧や工法のいがいが見られるという。また、極楽氏のもの1点だけに金メッキが施されていたことなどを紹介した。さらに、忍性が敬慕した奈良時代の僧・行基の骨蔵器が銀製だった事を挙げ、「奈良では行基への忍性の思いをくんで一段下の銅で作ったが、行基を知らない鎌倉の工人は豪華に仕上げようとしたのかも」と推測した。
また、奈良の2寺院では後世、弟子らの骨蔵器が五輪塔の下に多数追納されたことを紹介し、「忍性の没後も慕う人が多かったのではないか」と話した。
極楽寺五輪塔は308cm(4月の1日だけ公開される)、額安寺塔281.9cmと、全国の五輪塔の中でも大きいことで知られる。竹林寺塔は破損していたものを近時復原されたもの(未見)。ちなみに叡尊五輪塔(西大寺奥の院)は340.3cmで律宗の造塔意識との関係が言われる。
会場では忍性が関東へ行った時、最初に止錫した筑波山麓の三村寺跡の五輪塔277.5cmも紹介されている。
額安寺塔は多良の北東少し離れた鎌倉坂と俗称されるところに墓地があり、忍性塔を左端にして8基の五輪塔群(善願塔など)が重文指定されている。