仏像や彫刻・土器、触れて味わう展覧会 |
◆奈良県文化会館で体感展示 ~模造の興福寺仏頭など
彫刻や仏像に「さわって楽しむ体感展示」が4日から、奈良市の県文化会館で開催されている。今年で6回目になる県障害者芸術祭の一環で、初の試み。興福寺の銅造仏頭(模造)など約10点に手で触れて味わえる(先に紹介した「ビッグ幡」もこの催しの一環である)。
今秋、県内で同時開催される「第32回国民文化祭・なら2017」と「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」のプレイベントで、視覚障害の有無にかかわらず楽しめる。
障害の有無にかかわらず楽しんでもらえるよう、県が企画。自身も全盲で「触れる文化」を研究する国立民族学博物館の広瀬浩二郎准教授(文化人類学)が協力した。全盲の鍼灸(しんきゅう)師で美術家の光島貴之さんが製図用テープとカッティングシートで描いた「触る絵画」や、県立盲学校の生徒による手話の指文字をかたどった作品などが並ぶ。
展示にアドバイザーとして携わったのは、中学1年の時に視力を失った文化人類学者で、国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎さん(49)。広瀬さんは「様々な角度から触ることができる展示には、見るだけの鑑賞とは違った面白さがある。触った物が持つ迫力を感じたり、作った人や時代背景などを想像したりして、目が見える人も見えない人も、色々なことを感じ取ってほしい」と話している。
会場には、点字ブロック代わりに誘導カーペットを敷いた。弱視の人も読みやすいよう解説文は黒地に白い文字を使い、点字を併記した。広瀬准教授は「「現代はあまりに視覚に依存している」と、触れることで初めて実感する喜びや面白さを伝えたいという。多くの人に会場に訪れてほしい、1点ずつ丁寧に触りながら、ゆっくり味わってほしい」と話しているという。