奈良公園の鹿によるけが 相談最多になる |
奈良公園で2017年度、観光客らが鹿にかまれるなどの被害相談件数が過去最多の164件(170人)に上り、この時点で既に年間の過去最多を記録したことがわかったと報道された。
インバウンド(訪日外国人客)の増加に伴い、約8割が外国人という。「鹿せんべい」を与えている際に被害に遭うケースがほとんどで軽傷が多いというが、県は注意を呼び掛ける動画を作成したり、看板を設置したり対策を進めている。
多くの中国人観光客が行き来する東大寺南大門付近。楽しそうに鹿せんべいをあげようとした瞬間が〈驚き〉に変わった。「鹿にかまれた。どうしたらいいか」。そんな相談や通報が、ツアーガイドや警備員を通じて県に相次ぐとのこと。
◆シカ被害の実態
県奈良公園室によると、統計を始めた13年度の全体の相談件数は50件。うち外国人は12件だったが、17年度(1月末現在)は128件と10倍に増えた。そのうち中国人は8割以上の106件。鹿せんべいを与えるのをじらしたり、記念撮影の時に頭突きをされたりしてけがをするというのが大半で、けがは手の皮がめくれたり、血がにじんだりする程度という。
相談の多くは「狂犬病が怖い」という内容。担当者は「日本では50年以上、狂犬病は発生していません」などと中国語で書いたチラシを示し、希望者には消毒を施している。県が設置する「奈良公園のシカ相談室」は24時間体制で電話対応できるようにしている。
対策として、公園内には鹿との接し方を図で示し、注意書きした縦1.7メートル、横0.9メートルの緑色の看板を40ヵ所に設置。英語、中国語、韓国語、仏語で鹿についての注意点を伝える動画を作成し、閲覧できるように昨年12月には看板にQRコードを貼りつけた。
県によると、16年に県内を訪れた外国人観光客は165万4000人で、うち中国人が69万5300人で全体の約4割を占め、増加傾向にあると伝える。