千年支える一本に=心柱30m復活 |
◆薬師寺東塔上部心柱の立柱式
約110年ぶりの解体修理が進む西ノ京の薬師寺東塔 (国宝、奈良時代)で8日、塔を貫く「心柱」の上半分(高さ約13m)を下部に繋ぎ合わせる立柱式が行われ、塔の中心を貫く高さ約30mの心柱が姿を現した。儀式は覆い屋に設けられた会場で参拝者らが見守る中で行われ、僧侶らの読経に続いて柱がつなげられた。
東塔は木造の三重塔で、同寺唯一の創建当初の建物とされる。白鳳文化 (7世紀後半~8世紀初)の様式美を今に伝え、「凍れる音楽」とも称される。
柱の上部は直径最大 53cn、重さ760kgのスギ材。下端の腐食箇所を新しい木で補ったという。垂直に立てたままクレーンで水平移動し、 昨年1月に基壇の礎石に立てられていた下部のヒ ノキ材とつなぎ、くぎを使って4本の添え木で固定された。心柱は高さ約30mで、上下2本の柱を接いで構成される。
立柱式では村上太胤管主が工事の無事を祈る表白文を奏上。僧侶や関係者ら約500人が振る扇子と和太鼓の音に合わせて、高さ約 13mの上部がクレーン でゆっくりと運ばれ、下部の柱に取り付けられた。
工事を担当する県文化財保存事務所によると、東塔の解体修理は現在、二重目までの木部の組み立てを完了。 今秋までに木部の組み立てを終え、瓦葺き作業や心柱の先端に舎利(釈迦の骨)容器を納める儀式などを行って、2年後の20年4月完成を目指す。
村上管主は.「多くの方のお力を得て、立柱を迎えることができた。国宝の東塔が間近で見られることを待ち望んでいる」と話し、東塔の落慶法要を平成32年4月22 ~26日に営むと発表した。
その後、思いもかけない事情から辞任・退山に至るというドラマが展開されたが……。