興福寺板彫十二神将像 製作年代確定:奈文研 |
奈文研、学術裏付け
奈良市の興福寺に伝わる国宝・板彫十二神将像の年輪年代を奈良文化財研究所が測定した。最も新しい年代が測定されたのは波夷羅大将像の965年で、削られた部分を含めると、伐採の上限は11世紀初め〜中ごろと分かった。表現様式に基づく学説を裏付けた。伐折羅大将像と真達羅大将像は風じ木で作られた兄弟神将だった。
十二神将像はヒノキの板に浮き彫りされ、一体の高さが約0.9〜1m。東金堂の本尊の台座を飾ったと考えられている。
彩色が落ちて肉眼でも年輪が見える状態で、材木の面取りが測定に適した六体を選択。同研究所の光谷拓実・年代学研究室長らがデジタルカメラの画像をもとに計測した。
いずれも心材で、樹皮に近い辺材は使われていなかった。波夷羅大将像の年輪年代は965年と測定され、一般的なヒノキの辺材幅や削られた心材部を加えると11世紀初めから中ごろの伐採と推定できる。
【同木の〝兄弟大将〟も】 伐折羅大将像と真達羅大将像は年輪のパターンが同じだったことから、一木の兄弟神将と判明した。
板彫十二神将像は、彫刻の様式などから11世紀の制作と考えられてきた。