藤原京 CG画像で再現計画 −橿原市− |
◆古代中国がモデルの都
藤原京(宮)は694年、飛島浄御原宮(明日香村)から遷都。平城京(奈良市)に移る710年までの16年間、持統・文武・元明三代の天皇の都として栄えた。古代の中国の都城をモデルに、わが国で初めて条坊制が採用され、町は碁盤の目のように区画されていた。
現在は同市高殿町周辺に藤原宮跡が広がるが、当時の建物は残っていない。そのため、後世の平城京や平安京(京都市)に比べて「イメージがわきにくい」との声が多く、全国的な知名度も低いのが現状だ。
◆町並みや人々の暮らしも再現
市は隣接する高取町観光ポランティアガイドの会を仲介役として今春、高取城のCG再現を行った奈良産業大学に藤原京のCG製作を依頼。藤本守副市長と同大学情報学部の広田英樹教授をプロジェクトリーダーに、「藤原京CG再現プロジェクト」を発足させた。天呈が庄む大極殿や役人が政務を行う朝堂院、朱雀門などの建物のほか、五キロ四方の藤原京の町並みも再現。当時の人々の暮らしや天皇の儀礼などの動画も作り、バーチャルリアリティー(仮想現実)で1300年前の都を体感する。初年度は中心施設である藤原宮を製作し、来年3月末に完成する予定だ。
◆大極殿のCG画像が完成
奈良産業大学が行った高取城のCG再現では、天守閣への道のりを体験できる動画やバーチャルリアリティーも製作。日本三大山城の一つ、高取城の偉容を実体験できると人気だ。今回は同大学情報学部の3、4年生6人が参加。4月から作業を開始し、再建された平城京の朱雀門や資料館などで現地調査も行った。すでに今月初めには、大極殿のCG画像が完成した。
今月6日に、橿原市小房町のかしはら万葉ホールで開かれたプロ.ジェクト発会式では、安曽田豊市長が「日本はもとより、世界に情報を発信するアイテムとして活用したい」と期待。同大学の西川彰理事長は「さまざまな資料をもとに、正確な藤原京の再現に努力したい」と話した。
【奈良新聞 7/8日付】