平城宮跡歴史文化講座に180人 |
奈良時代の人々の暮らしを勉強する「平城宮跡歴史文化講座」が27日、奈良市佐紀町の平城宮跡資料館で開かれ、約180人の市民らが訪れた。今回は「木簡からみた文字文化」をテーマに奈良大学の東野治之教授が講演。木簡に記された文字から日本語の変遷を読み解いた。
平城宮跡の維持管理活動や文化サロンなどを通じて同宮跡への観光客誘致を目指すNP0(民間非営利団体)平城宮跡サボiトネットワークが主催。平成18年10月から年3回開催している。
東野教授は7世紀から8世紀の木簡について言及し、和語を漢字で書いた長屋王家木簡を解説。「長屋皇子」と「長屋王子」の表記について「一見すると違うように見えるが、どちらも意味は同じ。当時、親王(皇子)と王の区別をそれほど厳密にとらえていなかった。木簡は元になる日本語を漢字を使って当て字で書いてある」と説明した。
また、漢字一字を一音にあてた日本最古の万葉仮名の実例「難波宮跡木簡」が発見されたことで「国語学の定説を見直す必要がある」と強調。
その理由を「これまで日本では初めに漢文が入り、次いで漢文をまねて崩れた和風の漢文が書かれ、その後、送り仮名を入れて一字一音で書くようになったとされてきた。しかし、この発見で、それらは目的に合わせ同時併用されていたと言える」と論及。「話し言葉」と「書き言葉」のずれを考えるべきと話した。
東京から来た歴史愛好家の無職女性(68)は「分かりやすい講座で面白かった。木簡の読み方に新たな発見があった」と話していた。 【奈良新聞 1/28】