奈文研「地下の正倉院展」〜長屋王家 見えてくる |
奈良文化財研究所の「地下の正倉院展」がきょう21日から、奈良市佐紀町の同研究所平城宮跡資料館で開かれる。3期に分けて11月30日まで。昭和63年に出土した長屋王家木簡が約20年ぶりに本格展示される。
長屋王家木簡はデパートの出店に伴う調査で見つかった。総数で約3万5千点に上り、貴族の生活ぶりを知る画期的な発見となった。国内の木簡研究は飛躍的に進んだ。「長屋王とその家族」「長屋王と食卓」一など五つのテーマに分けて69点を展示する。うち約50点が初公開。
一期展(11月3日まで)は23点で、「長屋親王宮」と書かれた木簡は調査地が長屋王の邸宅跡と裏付けた記念すべき一点。献上品のアワビに付けられた荷札だった。ほかにも、食器とみられるハスの葉の送り状や子犬を産んだ母犬のえさの支給伝票もある。渡来系の名医だった許母(こも)を急ぎ呼ぶよう指示した木簡は、当時の表記を考える上でも重要な資料という。
同研究所の渡辺晃宏・史料研究室長は「日本の木簡研究の転換点となった木簡群。貴族の家の中の様子が分かるだけでなく、国家機構の縮図でもある。すごい資料だということを実感してもらえれば」と話している。
開館時間は午前9時から午後4時半。月曜休館。 【奈良新聞 10/21】