広陵町 巣山古墳の発掘調査 |
広陵町三吉の巣山古墳(四世紀末−五世紀初め、国特別史跡)で、前方後円墳の前方部の周濠(しゅうごう)外堤から全長百mにわたって、ふき石が出土したと町教育委員会が7日、発表した。全長220m級巨大古墳の外堤から全面的にふき石が出土した例がなく、築造方法や被葬者とみられる葛城地方の”大王級”の権力を示す資料として注目される。
史跡整備に伴う周濠の護岸工事のため町教委が周濠の北西部外堤で実施した第9次調査で出士。外堤に幅約二mにわたってふき石が敷き詰められでいる。東端付近は直径50cm以上の輝石安山岩の板石を多用しているが、その西側では石材が急に変更され、直径30cm前後の含石榴石黒雲母安山岩を基底石として、長径20cm前後の石材を小口積みにしている。
ふき石すそからは古墳時代の鋤(すき)、掘棒、籠(かご)、板材が出土。ふき石に混じって奈良・平安時代の人形(ひとがた)と卒塔婆の木製品が出土していることから、古墳北側の寺田遺跡の最盛期に周濠をため池や水場として利用していたことがうかがえる。この時代作られたとみられる突堤や取水溝なども見つかった。
町文化財保存センターの河上邦彦所長は「これほど大規模なふき石出土例はなく、築造の順序、積み方の労力が分かる。巨大古墳整備のモデルケースになるのでは」と話している。
現地説明会は17日午前10時から午後3時まで。
近鉄大和高田駅から奈良交通バス「竹取公園東」行きで終点下車。徒歩2分。駐車場は竹取公園駐車場。
[写真解説]出土した巣山古墳周濠の外堤部のふき石=7日、広陵町三吉−
【奈良新聞 1/8】