平城宮跡 大極殿院に広く浅い穴 |
奈良市の平城宮跡の「第一次大極殿院」東南隅で、奈良時代後半のものとみられる東西22m、南北17m、深さ20cmの浅い穴が見つかった。調査した奈良文化財研究所が18日、発表した。同院は、奈良時代に最も重要な国家的儀式をしていた大極殿を囲む回廊の内部。穴の用途は不明だが、西南隅にも同じようにあることが分かっており、東西対称に計画された可能性が高いという。
同院内の東半分のうち、未発掘だった約1560平方メートルを4月から調査していた。1959年から続いてきた院内の本格的な発掘調査は今回で最後となる。
同研究所によると、見つかった穴の東端は、東側の回廊に沿っていた。昨年調査した西側の対称となる場所でも、東西約22m、南北32mの浅い穴が見つかっており、北端の位置と東西幅がそろうという。担当した大林潤研究員は「大極殿院の中でも水のたまりやすい場所で、土を掘り出してまた埋め直したという地盤改良の跡かもしれない」と話している。
◆唐の銅銭も出土
今回の調査では、大極殿院の中に敷き詰められていた小石が3回にわたって敷かれていることも確認。中世以降の土の層からは、8世紀に唐で作られた「乾元重宝」(けんげんじゆうほう)という銅銭1枚が見つかった。平城宮内での出土は2例目だが、埋まった時期は不明。
現地説明会は20日午後1時半。少雨決行。
【花澤茂人】 【毎日新聞 6/19】
<写真は同日の奈良新聞より転載>